男性の育休をどう考える?

お知らせ
  1. 夫婦と家族が、自分らしく子育てするために
  2. 「夫に育休を取ってほしい」だけでは解決しない?
  3. 男性育休は、何のため?
  4. 男性が利用できる制度
    1. 育児休業
    2. 産後パパ育休
  5. 妻が育休中でも、夫は育休を取れる
  6. 育休中の収入はどうなる?
  7. 男性の育休取得率は、ここ数年で大きく変わった
  8. 私が新生児訪問で出会った、さまざまな「パパ育休」
    1. ① パパが家事も育児も積極的に担い、夫婦それぞれの時間も大切にしていたご家庭
    2. ② 夫婦で夜間の授乳を分担し、お互いに睡眠時間を確保していたご家庭
    3. ③ パパが育休を取っていても、睡眠不足で疲弊していたご家庭
    4. ④ 第3子のご家庭。パパは仕事を続け、子どもたちがママを支えていた
    5. ⑤ 里帰りから戻ってきてパパが育休を開始。でも判断はママに……
  9. 私が新生児訪問で感じてきたこと
  10. 「手伝う」と「担う」は、少し違う
  11. 父親の育休で、母親が本当に楽になるには
  12. 母親の本音も、家庭によって違う
  13. 父親が育休中に大切にしたいこと
    1. 出産直後
    2. 生後1~3か月
    3. 復職前
  14. 平成から現代へ、子育ての考え方はどう変わった?
  15. 祖父母世代に知ってほしいこと
  16. 父親のメンタルヘルスも大切
  17. 育休を取れば、子どもの発達はよくなる?
  18. どの家庭にも、同じ正解はない
  19. 夫婦で考えたい5つの質問
    1. 1.父親は、いつ、どのくらいの期間、育休を取るとよさそう?
    2. 2.母親は、父親に何をしてもらえると助かる?
    3. 3.父親が「自分の担当」として持てることは何?
    4. 4.夫婦それぞれが休める時間をどう確保する?
    5. 5.育休が終わった後、どうする?
  20. 「何をしてほしい?」ではなく「こうするね」
  21. おわりに
  22. 出産前だからこそ、夫婦で話しておきたいこと
  23. 「みんなはどうしてる?」から、「わが家はどうしたい?」へ
  24. 「わが家はこれで大丈夫」と思える出産準備を
  25. 参考にした主な資料

夫婦と家族が、自分らしく子育てするために

こんにちは。
ホリスティック保健師Manaです。

保健師として、これまで妊娠・出産・子育てに関する相談や家庭訪問、乳幼児健診、子育て支援に携わってきました。

気がつけば、保健師として働いてきた期間は約20年。

その間、たくさんの赤ちゃんとご家族に出会い、私自身も2人の子どもを育ててきました。

特に新生児訪問では、産後のご家庭に伺い、赤ちゃんのお世話の様子だけでなく、夫婦がどのように子育てをしているのか、どのように生活を組み立てているのかを、たくさん見てきました。

ここ数年では、

「パパが育休を取っています」

というご家庭も、以前に比べてずいぶん増えました。

乳児健診にも、パパが一緒に来るご家族が珍しくなくなっています。

社会の中でも、「男性も育休を取る」ということが、少しずつ当たり前になってきました。

そこで今回のテーマは、

「男性の育休をどう考える?」

です。


「夫に育休を取ってほしい」だけでは解決しない?

男性育休が広がる一方で、こんな声を聞くことがあります。

  • 夫に育休を取ってほしいけれど、何をしてもらえばいいのかわからない
  • 夫が育休を取ると、かえって自分の負担が増えそう
  • どのくらいの期間、どの時期に取るのがよいのだろう
  • 妻が育休中でも、夫は育休を取れるの?
  • 育休中の収入はどうなるの?
  • 以前の子育てと、今の子育ては何が違うの?
  • パパが育休を取ったら、本当にママは楽になるの?

こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、制度や統計だけでなく、私が子育て支援の現場で感じてきたこと、実際に新生児訪問で出会ったご家庭の様子、そして時代による子育ての変化も含めて、できるだけ中立的に整理してみたいと思います。

「男性は育休を取るべき」

「長期間取ったほうがいい」

と、一つの答えを提示したいわけではありません。

妊婦さん、ママ、パパ、そして祖父母世代の方が、それぞれの家庭に合った選択を考えるための材料になればと思っています。


男性育休は、何のため?

男性育休を促進していると聞くと、

「男性にも休んでもらう制度」

と考えるかもしれません。

もちろん、父親が仕事を休んで子どもと過ごすことは大切です。

でも、男性育休が進められている理由は、それだけではありません。

大きく分けると、

  • 母親に偏りやすい家事・育児の負担を減らす
  • 産後の母親の心身の回復を支える
  • 父親が育児の当事者になる
  • 女性が仕事を続けやすくする
  • 夫婦で子育てを担えるようにする
  • 子育て家庭の孤立や、いわゆるワンオペを減らす
  • 子育てと仕事を両立しやすくする

といった目的があります。

厚生労働省も現在、「共働き・共育て」をキーワードに、仕事と育児を両立しやすい環境づくりを進めています。(厚生労働省)

ただし、

男性が育休を取れば、自動的に母親が楽になるわけではありません。

ここは、私が新生児訪問をしてきた中でも、とても大切だと感じているところです。

父親が育休を取って家にいても、

「赤ちゃんが泣いたらどうしたらいい?」

「次は何をすればいい?」

「これって大丈夫かな?」

と、すべて母親に判断を求めていたらどうでしょう。

母親は、赤ちゃんのお世話に加えて、

「夫に何をしてもらうかを考える」

という仕事まで抱えることになります。

大切なのは、父親が家にいることではなく、

家庭を一緒に運営する当事者になること。

私は、そこが男性育休を考える上で、とても大切なのではないかと思っています。


男性が利用できる制度

男性が利用できる主な制度には、

  • 育児休業
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)

があります。

育児休業

育児休業は、原則として子どもが1歳になるまで、男女どちらも取得できる制度です。

一定の要件を満たせば、子どもが1歳を過ぎても、保育所に入れないなどの事情により、1歳6か月、さらに2歳まで延長できる場合があります。

また、育児休業は、原則として2回まで分割して取得することができます。(厚生労働省)

産後パパ育休

産後パパ育休は、子どもの出生後8週間以内に、合計4週間(28日)まで取得できる制度です。

通常の育児休業とは別に取得でき、2回に分けることもできます。

例えば、

  • 出生直後に2週間
  • 退院後や里帰りから戻った時期に2週間

という取り方も考えられます。

出産直後は、母親の身体的な回復が必要な時期です。

授乳、夜泣き、沐浴、抱っこ、家事など、それまでの生活が大きく変化します。

この時期に父親が家事や育児を担うことは、母親が身体を休める時間をつくることにもつながります。


妻が育休中でも、夫は育休を取れる

よくある疑問の一つが、

「妻が育休を取っている場合、夫は育休を取れないのでは?」

というものです。

夫婦のどちらか一方が育児休業を取得していても、もう一方が取得することは可能です。

例えば、

  • 出生直後に産後パパ育休を取る
  • その後、通常の育児休業を取る
  • 夫婦で同時に育休を取る
  • 夫婦で交代して取得する
  • 母親の復職や慣らし保育の時期に取得する

など、さまざまな組み合わせがあります。

ただし、夫婦ともに育児休業を取得する場合に利用できる「パパ・ママ育休プラス」などは、一定の要件があります。

制度は細かい条件によって変わるため、実際に利用するときは勤務先やハローワークなどで確認することをおすすめします。


育休中の収入はどうなる?

育児休業中は、会社から給与が支払われない、または減額されることがあります。

その場合、雇用保険の要件を満たせば、育児休業給付を受け取ることができます。

原則として、

  • 育児休業開始から180日までは、休業開始前賃金の67%
  • 181日目以降は50%

が基本となります。(厚生労働省)

さらに、2025年4月からは「出生後休業支援給付金」が始まりました。

一定の要件を満たす場合、出生直後の一定期間について最大28日間、13%相当額が上乗せされます。

育児休業給付と合わせると、給付率は80%相当となり、非課税や社会保険料免除などを考慮すると、手取りで休業前の10割相当となる場合があります。(厚生労働省)

ただし、誰でも必ず受給できるわけではありません。

雇用保険への加入状況や就業状況、休業中の就労、給与の支払い状況などによって条件が異なります。

制度は変更されることもあるため、具体的な金額や対象になるかどうかは、勤務先やハローワーク、厚生労働省の最新情報を確認してください。


男性の育休取得率は、ここ数年で大きく変わった

男性育休は、以前に比べて大きく広がっています。

厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は、

年度男性
平成30年度6.16%
令和元年度7.48%
令和2年度12.65%
令和3年度13.97%
令和4年度17.13%
令和5年度30.1%
令和6年度40.5%
令和7年度50.9%

と上昇しています。

2026年7月に公表された令和7年度調査では、男性の育児休業取得率は50.9%となり、
初めて5割を超えました。(厚生労働省)

これは大きな変化です。

私自身、新生児訪問をしていても、

「パパが育休を取っています」

というご家庭が以前より明らかに増えたと感じています。

一方で、ここで考えたいことがあります。

「育休を取った人が増えた」ことと、「父親が子育ての当事者になった」ことは、必ずしも同じではありません。

育休取得率は、「育児休業を取得したか」を示す数字です。

そこから先には、

  • どのくらいの期間取得したのか
  • その間、実際に何をしていたのか
  • 家事や育児を主体的に担ったのか
  • 復職後も育児参加が続いたのか
  • 母親の負担は本当に減ったのか

という視点があります。

実際、最新の調査でも、男性は女性に比べて育児休業期間が短い傾向が残っています。
令和7年度に育児休業を終了して復職した男性では、「1か月~3か月未満」が最も多く、
次いで「2週間~1か月未満」となっています。(厚生労働省)

だからこそ、これからは

「取ったかどうか」だけではなく、「どう過ごしたか」

も考えていくことが大切なのだと思います。


私が新生児訪問で出会った、さまざまな「パパ育休」

ここからは、私が保健師として新生児訪問をしてきた中で、実際に出会ったご家庭について、個人が特定されないよう内容を一般化してご紹介します。

どのご家庭が正解ということではありません。

むしろ、いろいろな家庭の形があることを知ってもらえたらと思います。

① パパが家事も育児も積極的に担い、夫婦それぞれの時間も大切にしていたご家庭

新生児訪問で伺ったご家庭では、パパも育休を取得していました。

ママは出産後ということもあり、自分の身体を回復させることを優先。

もちろん赤ちゃんのお世話もしますが、パパが家事をほぼ担い、赤ちゃんのお世話にも積極的に関わっていました。

私は、

「パパ、疲れていませんか?」

と聞いてみました。

すると、

「自分の時間も取れているので大丈夫です」

というお話でした。

なんと、パパの趣味であるジムにも毎日行っているとのこと。

もちろん、赤ちゃんがいる中で毎日ジムに行くことがすべての家庭にできるわけではありません。

でも、このご夫婦が素敵だなと思ったのは、

お互いに自分の時間を大切にしながら、お互いをカバーしていたこと。

「パパが育休を取ったら、パパはずっと赤ちゃんのお世話をしなければならない」

でもなく、

「ママが産後だから、ママは赤ちゃんだけを見ていればいい」

でもない。

夫婦それぞれが自分自身を大切にしながら、家族として支え合っていました。

私は、このご家庭を見て、

子育てをすることと、自分自身を大切にすることは、両立できるんだな

と感じたことを覚えています。


② 夫婦で夜間の授乳を分担し、お互いに睡眠時間を確保していたご家庭

別のご家庭では、パパも育休中。

そこでご夫婦が工夫していたのが、

睡眠時間の確保

でした。

夜間の授乳や赤ちゃんのお世話を分担し、お互いが5~6時間程度の睡眠を確保できるようにしていました。

赤ちゃんが生まれると、

「赤ちゃんのお世話をどうするか」

に目が向きがちですが、

パパとママが眠れているか

も、とても大切です。

夫婦どちらか一方だけが睡眠不足になってしまうと、心身ともに余裕がなくなります。

「赤ちゃんのお世話を二人で分担する」

だけではなく、

「二人とも倒れないようにする」

という視点も、子育てには必要なのだと思います。


③ パパが育休を取っていても、睡眠不足で疲弊していたご家庭

一方で、パパが育休を取得していても、疲れ切っているご家庭もありました。

パパが赤ちゃんのお世話を頑張るあまり、十分に眠ることができず、心身ともに疲れている。

そして、そんなパパを見て、今度はママが気を遣ってしまう。

「パパも頑張っているから……」

と、ママが自分の負担を減らすことを遠慮してしまうこともあります。

これも、

「パパが育休を取ったからよかった」

だけでは終わらない部分です。

育休は、誰か一人が頑張るための制度ではありません。

夫婦のどちらかが無理をしすぎていないか。

そこを、お互いに確認することも大切です。


④ 第3子のご家庭。パパは仕事を続け、子どもたちがママを支えていた

第3子の新生児訪問で印象に残っているご家庭もあります。

上のお子さん2人は、すでに小学生。

パパは普段から仕事をしていて、家のことはあまり把握していませんでした。

でも、ママは、

「パパには仕事に行ってもらったほうがいい」

と話していました。

なぜなら、パパが仕事をしている間、上の子どもたちが産後のママを支えてくれていたからです。

上のお子さんたちが家事を手伝ったり、赤ちゃんのお世話をしたり。

そしてママ自身も、

「パパに家事や育児を手伝ってもらわないほうが、かえって気が楽」

と話していました。

これは、今の「男性も育休を取るべき」という考え方だけでは説明できない家庭の形です。

このご家庭にとっては、

パパが育休を取ることよりも、今ある家族の力を活かすこと

のほうが合っていたのだと思います。


⑤ 里帰りから戻ってきてパパが育休を開始。でも判断はママに……

もう一つ印象に残っているケースがあります。

里帰り出産を終えて自宅に戻ってから、パパが育休を開始したご家庭です。

パパも赤ちゃんのお世話をしていました。

ただ、ママはすでに里帰り中に赤ちゃんのお世話を経験しているため、

「これはどうしたらいい?」

と、何かあるたびにママに判断を求める。

そして、パパが赤ちゃんを見ていても、赤ちゃんが泣くと、

「ママにバトンタッチ」

となる。

パパは育休を取っている。

赤ちゃんのお世話もしている。

でも、ママの中には、

「結局、私が判断しなければいけない」

という負担が残っていました。


私が新生児訪問で感じてきたこと

こうしたさまざまなご家庭を見てきて、私自身が感じていることがあります。

あくまで、長年の新生児訪問の中で私が感じてきた「印象」ですが、

パパが退院後から育休を取り、ママと一緒に赤ちゃんのお世話をしているご家庭では、
パパ自身も子育ての当事者になっていく姿を感じることが多くありました。

赤ちゃんが泣いたとき、

「どうしたんだろう?」

と夫婦で一緒に考える。

授乳したけれど泣いている。

抱っこしても泣いている。

おむつを替えてみる。

暑いのかな?

眠いのかな?

いろいろ試してみる。

そうやって、夫婦で一緒に悩みながら赤ちゃんとの生活をつくっていく。

すると、少しずつパパも、

「この泣き方は眠いのかな」

「この場合はこうすると落ち着く」

ということが分かってきます。

そして、

パパ一人でも赤ちゃんのお世話ができる

という状態になっていきます。

これは、単に「育児スキルが上がる」というだけではないと思っています。

「自分もこの子の親なんだ」という当事者意識につながっていく。

そんな姿を、私は何度も見てきました。


「手伝う」と「担う」は、少し違う

一方で、以前は、

「パパは仕事。帰宅してから、または休日に赤ちゃんのお世話をする」

という家庭も多くありました。

もちろん、それでも一生懸命子育てをしているパパはたくさんいます。

ただ、私が現場で感じていたのは、

  • 赤ちゃんについての判断をママに求める
  • 赤ちゃんが泣き止まないとママにバトンタッチする
  • 「赤ちゃんを見ていて」と頼んでも、スマホやゲームをしてしまう
  • 時間になったら、ママから言われた授乳をする
  • 赤ちゃんと同じ空間にいることを「見ている」と捉えてしまう

というようなケースも少なくなかったことです。

もちろん、これはすべての家庭に当てはまる話ではありません。

そして、当時の父親たちが怠けていたということでもありません。

仕事中心の社会の中で、

「男性は仕事、女性は家庭」

という役割分担が、今よりも強く存在していたのだと思います。

だからこそ、

「育児を手伝う」から「育児を担う」へ。

この変化は、とても大きいのではないかと感じています。


父親の育休で、母親が本当に楽になるには

父親が赤ちゃんをかわいがることと、母親の負担が減ることは、少し違います。

例えば母親が、

  • 赤ちゃんの生活リズムを把握する
  • おむつや着替えを準備する
  • ミルクや授乳用品を準備する
  • 健診や予防接種を管理する
  • 保育園の情報を調べる
  • 日用品の在庫を確認する
  • 赤ちゃんの様子を判断する
  • 夫に何をしてもらうか考える

ということまで担っていたら、

父親が赤ちゃんを抱っこしている時間が増えただけでは、母親の負担はそれほど減らないかもしれません。

だからこそ、育休を取るときには、

「何を手伝うか」ではなく、「何を自分の担当として持つか」

を考えてみてほしいと思います。

例えば、

  • 食事の準備と買い物は父親が担当する
  • 上の子の送迎と遊び相手は父親が担当する
  • 沐浴、着替え、寝かしつけを担当する
  • 予防接種や健診の予定を管理する
  • 保育園について調べる
  • 母親が一人で休む時間をつくる
  • 赤ちゃんが泣いたときに、まず自分で対応してみる

などです。

「ママに聞かないとわからない」ではなく、

「自分でも考えてやってみる」

ことが、父親自身の当事者意識にもつながっていくのではないでしょうか。


母親の本音も、家庭によって違う

男性育休については、

「父親にはぜひ取ってほしい」

という母親が多い一方で、

「取ってほしくない」

「自分のペースで育児したい」

と感じる母親もいます。

そこにも、さまざまな理由があります。

例えば、

  • 収入が減ることへの不安
  • 夫の家事・育児スキルへの不安
  • 夫の世話まで増えることへの不安
  • 自分の育児ペースを崩したくない
  • 夫が家にいることでかえって気を遣う

などです。

つまり、

「父親が育休を取ること」そのものが嫌なのではなく、
「育休を取った結果、自分の負担が増えること」が嫌

という場合もあります。

一方で、

「夫と一緒に育児をしたい」

という母親もたくさんいます。

母親の希望も、

  • 出生直後に短期間取ってほしい
  • 数か月、一緒に育児をしたい
  • 母親の復職時期に取ってほしい
  • 夫が一人で赤ちゃんをみられるようになってほしい
  • 実家や産後ケアの支援を優先したい
  • 収入を考えて長期間は取らないでほしい
  • 自分の育児のペースを尊重してほしい

など、本当にさまざまです。

だからこそ、

「母親なら父親の育休を歓迎するはず」

「父親なら長期間育休を取るべき」

と決めつけないことが大切なのだと思います。


父親が育休中に大切にしたいこと

では、実際に父親が育休を取ったら、どんなことを意識するとよいのでしょうか。

出産直後

この時期は、何より母親の身体の回復を大切に。

  • 食事の準備
  • 洗濯や掃除
  • 買い物
  • 上の子の送迎
  • おむつ交換
  • 抱っこ
  • 沐浴
  • 寝かしつけ
  • 母親が眠る時間の確保
  • 産後ケアや地域支援への申し込み

など、できることはたくさんあります。

生後1~3か月

少しずつ、

「パパ一人で赤ちゃんをみる時間」

をつくってみるのもよいと思います。

ママが病院に行く。

買い物に行く。

眠る。

一人でお風呂に入る。

何もしない時間を過ごす。

そんな時間があることで、母親も自分自身を取り戻す時間を持つことができます。

そして父親にとっても、

「自分一人で赤ちゃんを見る」

という経験が、当事者意識を育てるきっかけになります。

復職前

育休が終わったら、家事・育児が母親に戻ってしまうのでは意味がありません。

  • 朝の準備
  • 保育園の送迎
  • 子どもの発熱時の対応
  • 夕食
  • 入浴
  • 寝かしつけ
  • 保育園や学校からの連絡確認

など、復職後の生活も含めて、夫婦で考えておくことが大切です。


平成から現代へ、子育ての考え方はどう変わった?

私が保健師として働き始めた頃と、現在では、子育てをめぐる社会の空気も変化しました。

以前は、

「男性は仕事、女性は家庭」

という役割分担が、今よりも当然のように受け止められていました。

父親が保育園の送迎をすることや、平日に子どもの健診へ来ることも、今より珍しかったと思います。

母親が働く場合でも、家事や育児は母親が中心。

父親は「手伝う」という位置づけになりやすかった。

今は、

  • 男女ともに働く
  • 父親も育児休業を取る
  • 父親も保育園や学校に関わる
  • 家事・育児は夫婦で担う
  • 仕事と家庭を両立する

という考え方が広がっています。

一方で、意識が変わったからといって、実際の生活がすぐに変わるわけではありません。

現在も、子育て家庭では家事・育児と仕事の分担に大きな男女差が残っています。

つまり、

「男女ともに子育てをする」という考え方は広がってきたけれど、家庭の中の実態はまだ変化の途中

なのだと思います。

だからこそ、男性育休という制度も、「取得率を上げること」だけではなく、その先にある家庭の変化まで考えていく必要があるのではないでしょうか。


祖父母世代に知ってほしいこと

祖父母世代の方からすると、

「私たちの時代は夫が育休を取らなくても育てた」

「赤ちゃんは母親が育てるものではないの?」

「男性が家にいると、かえって母親が休めないのでは?」

「昔と今では何がそんなに違うの?」

と感じることもあるかもしれません。

でも、昔の子育てが間違っていたということではありません。

その時代には、その時代の働き方、家族の形、地域のつながりがありました。

一方、今は共働き家庭が増え、祖父母と同居しない家庭も増えています。

地域とのつながりも以前とは変わり、子育てを家庭だけで抱えやすくなっています。

そのため、

父親も子育てを担うことが、以前よりも重要になっている

のだと思います。

祖父母にできる支援も、

「子育ての方法を教えること」

だけではありません。

  • 夫婦の希望を聞く
  • 今の制度や育児情報を知る
  • できることを確認してから手伝う
  • 母親だけでなく父親にも声をかける
  • 「昔はこうだった」と比較しすぎない
  • 必要なときに休めるよう支える

という関わりも、とても大切です。


父親のメンタルヘルスも大切

そして、忘れてはいけないのが父親自身の心身の健康です。

父親も、育児休業中に精神的な負担を抱えることがあります。

睡眠不足。

赤ちゃんの泣きへの対応。

夫婦の役割分担。

収入への不安。

復職後のキャリア。

家庭にいることによる孤立。

さまざまなことが重なることがあります。

「父親だから頑張らなければ」

と、一人で抱え込む必要はありません。

つらいときには、保健センター、保健師、産婦人科、小児科、心療内科、精神科などに相談することもできます。

そして、

父親が休むことも、家族を守ることの一つです。


育休を取れば、子どもの発達はよくなる?

父親の育休取得が、子どもの発達や将来にどのような影響を与えるのかについては、まだ研究が続いている段階です。

父親が乳児期から積極的に育児に関わることは、母親の負担軽減や夫婦関係、子どもの心理面などと良い関連を示す研究があります。

ただし、

「父親が育休を取ったから、子どもの発達がよくなる」

と単純に言えるわけではありません。

大切なのは、

  • 育休中に実際に育児をしたか
  • 母親の負担が減ったか
  • 復職後も育児を続けたか
  • 子どもの話を聞いたか
  • 家族の一員として家庭を運営したか

といった、日々の関わりです。

つまり、

育休はゴールではなく、父親が子育てを始めるきっかけの一つ

なのだと思います。


どの家庭にも、同じ正解はない

ここまで、いろいろなご家庭の話をしてきました。

でも、私が一番伝えたいのは、

「男性は育休を取るべき」ということではありません。

男性育休には、さまざまな形があります。

  • 父親が出生直後に2週間取る
  • 1か月、2か月、半年と長く取る
  • 夫婦で同時に取る
  • 交代して取る
  • 母親の復職時期に合わせて取る
  • 父親は育休を取らず、時差出勤や定時退社で支える
  • 産後ケアを利用する
  • 家事代行を利用する
  • 祖父母や地域の支援を利用する

どれが正しいということではありません。

第3子のご家庭のように、

「パパには仕事に行ってもらったほうが家庭がうまく回る」

という家庭もあるでしょう。

反対に、出生直後からパパが育休を取り、夫婦で試行錯誤しながら子育てをすることで、家族の関係が深まる家庭もあります。

大切なのは、

制度を使うことそのものではなく、その家庭が無理なく生活できること。

そして、

夫婦それぞれが、自分自身を大切にしながら子育てできること。

なのではないでしょうか。


夫婦で考えたい5つの質問

育休を取る前に、ぜひ夫婦でこんなことを話してみてください。

1.父親は、いつ、どのくらいの期間、育休を取るとよさそう?

出生直後なのか。

里帰りから戻った時期なのか。

母親の復職時期なのか。

家庭によって必要な時期は違います。

2.母親は、父親に何をしてもらえると助かる?

「何でもいいよ」

ではなく、

「食事を作ってもらえると助かる」

「上の子をお願いしたい」

「夜は少し長く眠りたい」

など、具体的に考えてみます。

3.父親が「自分の担当」として持てることは何?

「言われたらやる」

ではなく、

自分で考えて、最初から最後まで担うこと。

これが、当事者になる一歩になると思います。

4.夫婦それぞれが休める時間をどう確保する?

赤ちゃんのために頑張るだけではなく、

ママもパパも休む。

これも大切です。

5.育休が終わった後、どうする?

育休中だけ父親が育児をして、復職したらすべて母親に戻ってしまうのでは、長期的には負担が偏ってしまいます。

育休後の生活まで考えておくことが大切です。


「何をしてほしい?」ではなく「こうするね」

そして、これは私が子育て支援の現場で感じてきたことですが、

「何をしてほしい?」

と聞かれても、産後の母親がすぐに答えられるとは限りません。

そこで父親から、

「食事と買い物は自分が担当するね」

「明日の午前中は赤ちゃんをみるから、寝ていてね」

「保育園の情報は自分が調べるね」

「予防接種の予定は自分が管理するね」

「今日は上の子と出かけるから、少し休んでいてね」

と具体的に提案する。

そんな関わりが、母親の安心につながることがあります。

そして父親自身も、

「自分は何をしたらいいんだろう?」

と迷うより、

「自分の家庭をどう運営していこう?」

という視点を持つことができるのではないでしょうか。


おわりに

男性育休をめぐっては、

「父親も必ず長期間取るべき」

という意見もあれば、

「家庭によっては取らない選択もあっていい」

という意見もあります。

私は、どちらか一方が正しいとは思っていません。

保健師として、たくさんのご家庭を見てきたからこそ、

家庭によって、本当に必要な支援は違う

と感じています。

母親の心身の状態。

父親の仕事や収入。

夫婦それぞれの価値観。

上の子どもの有無。

祖父母や地域の支援。

産後ケアなどの外部サービス。

そして、赤ちゃんの状況。

いろいろなことを考えながら、その家庭に合う方法を選んでいい。

そして、もう一つ大切なのは、

「育休を取ること」だけを目的にしないこと。

父親が育休を取っても、ママに判断を任せきりでは、ママの負担は減りません。

一方で、父親が育休を取らなくても、家事や育児を主体的に担い、夫婦で支え合うことはできます。

だからこそ、

「育休を取ったか」ではなく、
「家族として、どう子育てを担っていくか」

を考えてほしいと思います。

子育てには、家庭の数だけ形があります。

誰かの正解を、そのまま自分の家庭に当てはめなくてもいい。

制度を知ることで、選択肢が増える。

いろいろな家庭の形を知ることで、

「我が家はどうしたい?」

と考えることができる。

そして夫婦で話し合いながら、

自分たちらしい子育ての形をつくっていく。

それが、私が20年近く子育て支援に関わってきて、今感じていることです。

「パパも育休を取ったほうがいい?」

と迷ったときには、

「取る・取らない」の二択だけではなく、

「我が家にとって、どんな形ならママもパパも無理なく、自分らしく子育てできるだろう?」

と考えてみてください。

その中に、きっとそのご家庭なりの答えがあるのだと思います。


出産前だからこそ、夫婦で話しておきたいこと

ここまで読んでくださって、

「じゃあ、我が家はどうしたらいいんだろう?」

と思った方もいるかもしれません。

男性育休を取るか、取らないか。

どのくらい取るのか。

産後、誰に頼るのか。

夜泣きや授乳はどうするのか。

家事はどう分担するのか。

仕事に復帰した後はどうするのか。

実は、こうしたことは赤ちゃんが生まれてから考えるよりも、
出産前に夫婦で話しておくことがとても大切です。

もちろん、実際に赤ちゃんが生まれてみなければ分からないこともたくさんあります。

だからこそ、最初から完璧な答えを決める必要はありません。

「我が家はどうしたい?」

「何を大切にしたい?」

「困ったときには、誰に頼ろう?」

そんなことを夫婦で話しておくだけでも、出産後の安心感は変わってきます。

そして、夫婦で話してみると、

「私はこう思っていたけれど、パパは違うんだ」

「そんなことまで考えてくれていたんだ」

「そこは、もう少し具体的に決めておいたほうがよさそうだね」

と、お互いの考えを知るきっかけにもなります。


「みんなはどうしてる?」から、「わが家はどうしたい?」へ

妊娠すると、

「みんなはどうしてる?」

「これは普通?」

「これを準備したほうがいい?」

と、たくさんの情報を検索するようになります。

でも、育児には一つの正解があるわけではありません。

今回ご紹介した新生児訪問のご家庭も、それぞれ全く違っていました。

パパが積極的に育児を担う家庭。

夫婦で睡眠を確保することを優先する家庭。

パパは仕事を続け、上の子どもたちがママを支える家庭。

パパが育休を取っても、ママに判断が集中してしまう家庭。

どれが良い、悪いではありません。

大切なのは、

「わが家は、どうしたい?」

ということ。

そのためには、いろいろな選択肢を知り、その中から自分たちに合うものを選んでいくことが大切です。


「わが家はこれで大丈夫」と思える出産準備を

私が開催している「検索ループの毎日を抜け出し、『わが家はこれで大丈夫』と安心できる出産準備セミナー」では、

「これが正解です」

と答えをお伝えするのではなく、

自分たちの家庭にとって、何を大切にしたいのか。

そこを一緒に考えていきます。

出産や産後の生活について、情報が多すぎて何を信じたらいいのかわからない。

周りの人の話を聞くほど、不安になってしまう。

夫婦で子育てについて話したいけれど、何から話せばいいかわからない。

そんな方にこそ、知ってほしい内容です。

出産準備は、赤ちゃんのための物を揃えることだけではありません。

赤ちゃんを迎えた後、どんなふうに家族で暮らしていきたいのか。

それを考えることも、大切な出産準備の一つです。

妊娠中から、少しずつ。

「みんなと同じ」ではなく、

「わが家はこれで大丈夫」

と思える、自分たちの基準を一緒につくっていきませんか?

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詳細・開催日程はこちらからご覧いただけます。

検索ループの毎日を抜け出し”わが家はこれで大丈夫”と安心できる出産準備セミナー
「自然なお産がしたくて助産院での出産を決めたのに」「私だけ救急搬送されて、赤ちゃんと一緒に過ごせない」「完全母乳で育てたいのに、母乳だけではダメなの?」これは、私自身が産後に経験し「保健師で知識も情報もあったはずなのに、なんで?」と一気に自…

参考にした主な資料

  • 厚生労働省「育児休業制度特設サイト」
  • 厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」
  • 厚生労働省「育児休業等給付について」
  • 厚生労働省「出生後休業支援給付金」
  • 内閣府「男女共同参画白書」
  • その他、父親の育児参加・産後のメンタルヘルス等に関する研究

※制度や給付の内容は改正されることがあります。個別の利用条件や支給額については、勤務先、ハローワーク、年金事務所、自治体などで最新情報をご確認ください。

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